FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定) |
FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)は、2カ国以上の国や地域が相互に関税や輸入割当などその他の貿易制限的な措置を撤廃あるいは削減することを定めた協定です。関税や非関税障壁をなくすことで締結国・地域の間で自由な貿易を実現し、貿易や投資の拡大を目指すものです。
FTA相手国と取引のある企業にとっては、無税で輸出入ができるようになる、消費者にとっても相手国産の製品や食品などが安く手に入るようになるなどのメリットが得られます(JETROの「FTA/EPA基礎講座」より)。 EPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)は、関税やサービス貿易の自由化に加え、投資、政府調達、知的財産権、人の移動、ビジネス環境整備など、幅広い分野をカバーし、また協力の要素を含めることで 相手国と「連携」して貿易や投資の拡大を目指す協定で、FTAをさらに一歩進めたものといえます。包括的なEPAは、現在WTOが規定する以上の内容 (WTOプラス)を含んでいます(JETROの「FTA/EPA基礎講座」より)。 FTAとEPAの区分はそれほど厳密なものではありません。狭い意味でのFTAは自由貿易地域(あるいは協定)を指しますが、より経済統合度の強い関税同盟の条件を満たしたEUなどを含めた総称としても「FTA」が用いられます。また、日本ではEPA/FTAという表現もしばしば使われています(UFJ総研「けいざい早わかり」2004年13号」より)。 WTO協定上、最恵国待遇の例外とされるEPA/FTAは、WTOによる多角的貿易自由化と異なり、WTO協定上の一定の条件を満たせば、締結相手国・地域、対象分野等を柔軟かつ機動的に選択することが可能であり、また、WTO協定で定められていない分野等をカバーした協定とすることも可能であることから、WTOを中心とした多角的自由貿易体制と相互補完的な機能を有しているとされています(通商白書2008年版より)。 日本は2002年にシンガポールと初めてEPAを締結しました。農産物の実質的な関税撤廃・削減を含むものとしては初めてとなる日本・メキシコのEPAの署名が2004年9月に行われ、2005年4月に発効しました。2006年7月にはマレーシアと締結し、同年9月にはフィリピンと協定に署名しました。2006年12月現在、タイ、インドネシア、チリとも大筋合意済みで、ASEAN全体、ブルネイ、韓国と現在交渉中です。 |