ビールの種類
広辞苑で「発酵」をひくと、“一般に、酵母・細菌などの微生物が、有機化合物を分解してアルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生ずる過程。本態は酵素反応。酒・醤油・味噌、さらにビタミン・抗生物質などはこの作用を利用して製造する。狭義には、糖質が微生物によって酸素の関与なしに分解する現象を、また広義には、これと化学的に同じ反応過程である生体の代謝(解糖系など)、および微生物による物質生産を指す”とあります。

「発酵」という現象の中でも、酵母菌がブドウ糖などを嫌気状況(酸素の少ない状況)で分解し、エタノールと炭酸ガスを生成する過程をアルコール発酵といいます。果物の汁や樹液などに自然界にある酵母が入り込むと、ブクブクと泡を立ててアルコールができます。ブドウをそのままつぶして放っておくと、ブドウ酒ができるのはこの原理です。しかし、米や麦のような穀物をアルコールに変えるのは簡単ではありません。穀物には糖はほとんど含まれておらず、それらがつながってできたデンプンとして蓄えられているからです。従って、穀物からアルコールを造るためには、デンプンを糖に変えるというプロセスが必要になります。

ビールは大麦から作られていますが、ビール工場では大麦を発芽させた後に乾燥させて麦芽を製造し、その麦芽を粉に挽いて大きな糖化槽に入れ、湯を注いで65度から75度に保ちながら1時間半ぐらいかき混ぜます。この工程により麦芽のデンプン分解酵素が働き、デンプンが糖に分解され、甘い飴湯ができます。麦汁と呼ばれるこの糖化液を冷やし、ビール酵母を加えて発酵させることでビールができます。

この酵母の働き方によって「下面発酵ビール」と「上面発酵ビール」という大きく2種類に分かれます。
 1.上面発酵ビール:発酵が進んでくると発酵液の表面上に浮かび上がってくる酵母を使用することからこう呼ばれます。常温(12〜20℃)で発酵を行います。
 2.下面発酵ビール:発酵の終わり頃にタンクの下に沈む酵母を使用するビールで、発酵温度は10℃前後と比較的低温です。

ビールには、「生ビール」「ラガービール」「黒ビール」などの種類がありますが、「ビールの表示に関する公正競争規則」の第4条では、次のように決められています。
1.事業者がビールについて次の用語を表示する場合は、それぞれの項目に記載してある基準に従うものとする。邦文によらない場合の表示も同様とする。
 (1)ラガービール:貯蔵工程で熟成させたビールでなければラガービールと表示してはならない。
 (2)生ビール及びドラフトビール:熱による処理(パストリゼーション)をしないビールでなければ、生ビール又はドラフトビールと表示してはならない。
 (3)黒ビール及びブラックビール:濃色の麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビールでなければ、黒ビール又はブラックビールと表示してはならない。
 (4)スタウト:濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビールでなければ、スタウトと表示してはならない。
2.前項第1号から第3号までの文言は、ビールである旨が明りようである場合には、当該文言中のビールの文字を省略し、単に「ラガー」、「生」などと表示することができる。