輸入食品の検査制度
1.販売または営業上使用する目的で、食品、食品添加物、器具、容器包装、一部のおもちゃを輸入しようとする者は、食品衛生法に従って「食品等輸入届出書」、添付書類および自主検査成績書を、厚生労働大臣宛に(具体的には通関場所を管轄する検疫所食品監視課)へ提出しなければなりません。

(1)次の食品には、おのおの定められた添付書類が必要です。
 1)食肉・食肉調製品:輸出国政府発行の衛生証明書
 2)フグ:輸出国の公的機関が作成した衛生証明書
 3)加工食品など:製造者が作成・発行の原材料表、製造工程表、製品証明書
 4)その他:品目(チーズ、キノコ、トマトなど)と輸出国により、衛生証明書や試験成績書
(2)食品などの成分規格や農薬、動物用医薬、添加物などの使用状況に基づいて、その輸入食品が適法かを確認するため、必要項目について自主的検査を行い、自主検査成績書を提出します。このことで輸入手続きが迅速化します。

2.所轄の検疫所では、記載の届出事項(品名、輸出国、製造者、原材料、食品添加物、製造または加工法等)が、審査基準を満たしているかどうか照合が行われます。
審査の内容は、次の通りです。
 (1)食品衛生法に規定されている製造基準に適合しているか。
 (2)添加物の使用基準は適切であるか。
 (3)有害有毒物質が含まれていないか。
 (4)過去衛生上の問題のあった輸入者であるか。

 審査の結果、食品衛生法上で問題がなく、そして現物検査の必要がないと判断された食品については、食品等輸入届出書に「届出済」のスタンプが押され、輸入者に返却されます。
 前述の提出書類だけで食品衛生法に基づく規格基準等に適合しているかどうかの判定が困難な場合は、必要事項の報告や自主試験検査成績書等の提出が求められます。

3.提出された成績書等により適合性が判定できない場合は、検疫所による現物の衛生検査が行われます。ただし、厚生労働大臣指定の検査機関、および輸出国の公的検査機関発行の検査成績書が提出されれば、この検査は省略されます。
 現物検査が必要と判断される主なケースは、次のとおりです。
 (1)その食品が、輸送途中で食品の安全や衛生を損なう恐れのある事故に遭った場合
 (2)日本に初めて輸入される食品
 (3)以前に類似したもので食品衛生法に違反した食品
 (4)厚生労働省により検査命令対象食品に指定されているもの

4.現物検査には、次の4種類があります。
 (1)命令検査
 法律違反の疑いが強い場合は、厚生労働大臣が輸入者に受検を命令します。この場合、同大臣指定の検査機関、または輸出国の公的検査機関での検査結果が判明するまで、当該貨物は留置されます。現在は、検査命令対象食品は政令で定められています。
 (2)指導検査
 輸入者の食品衛生安全確保義務責任の観点から、初回輸入時や定期的輸入時に必要項目についての自主検査を、検疫所が輸入者に指導するものです。検査結果が判明するまで、当該貨物は留置されます。
 (3)モニタリング検査
 年間計画に従って、農薬や動物用医薬品等の残留実態等を把握するために、モニタリング検査が行われます。検査結果の判明前に輸入手続きを進めることができますが、後日法令違反が判明した場合は、必要な行政措置が講じられます。
 (4)行政検査
 輸送途上の事故等で、衛生上の問題があると思われる場合は、食品衛生監視員が当該食品の置かれている場所へ赴き、実物検査を行います。状況によっては、サンプルを採取して検疫所や国立医薬品食品試験所で微生物や添加物、残留農薬等の検査・分析を行います。検査結果が判明するまで、当該貨物は留置されます。

5.現物検査結果による措置
 (1)合格判定された食品は、食品等輸入届出書に「合格」のスタンプが押されます。輸入者は、これを輸入申告書に添付して、通関手続きを行います。
 (2)食品衛生法の規格・基準等に適合せずに「不合格」となった場合は、輸入者は、検疫所長からの指示に従って、積み戻しや廃棄など行うことになります。

※日本貿易振興機構(ジェトロ)の 貿易・投資相談Q&A「商品ごとの輸入手続き:動物・植物性生産品、食料・飲料等」より引用しました。